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横領の代償(1)

有田正直は大阪府と和歌山県の県境で小さな町工場を経営している。工場は十七年前に父親から受け継いだもので、精密機械に組み込まれるボルトを主に生産しており、従業員数は社長の有田を含めてわずか六人であった。
青木恵理子が自宅近くにあるこの小さな町工場で事務員として働き始めて、この六月で一年になる。三人の子供の母親である恵理子は長らく専業主婦をしていたが、末っ子の三男が昨年に中学校に入学したのを契機に、パートの仕事を探し始めた。
有田は求人広告を見て面接にやって来た恵理子を一目見て採用を決めた。結婚前にホステスをしていた経験のある恵理子は大柄な女で、いかにも男好きしそうな派手な容姿をしていた。
有田は工場の経理を恵理子に一任していたが、ベテラン作業員の中には、それを危ぶむ者もいた。恵理子はその外見と同様に派手好きで、いつもブランド品の洋服やバッグで着飾り、休日にはエステ通いや温泉旅行にこうじるなど傍目に見ても金遣いが荒い。
恵理子の夫は長距離トラックの運転手をしていて決して高給取りではない。年頃の子供を三人も抱えた町工場のパート事務員がそんなに派手に金を使えるわけがない、あれはきっと工場の金を着服しているに違いないと、作業員たちは有田に忠告した。

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作業員たちの心配は、決して取りこし苦労ではなかった。有田から経理を一任されている恵理子は帳簿を細工し、工場の金を横領していたのだ。
横領額は最初こそ小さかったが、社長の有田が全く気付かないでいると調子に乗り、その額は徐々に増えていった。
だが社長の有田は、恵理子が着服を始めた当初から、その犯行を把握していた。把握しておきながらこの一年間、恵理子を泳がしていたのだ。
有田は作業員から忠告を受ける前から、恵理子が手癖の悪い性悪女であることを見抜いていた。と言うよりも、見抜いていたからこそ、面接で一目見ただけで、恵理子を採用したのだ。
有田は恵理子が犯行を犯しやすい様に経理を一任し、チェックの目を緩めて、その時を待った。恵理子は有田が仕掛けた罠にまんまとはまってしまったのだ。
この一年間で、恵理子が横領した金は二百万円近くにまでなっていた。小さな町工場にとってそれは小さな損害ではなかったが、有田はじっとその時を待った。そしていよいよ、横領された二百万円を取り返すべく、行動を開始したのだ。

231-2.jpg

仕事を終えた恵理子が制服姿のままで一服していると、事務室に社長の有田が姿を見せた。
社長の有田は五十の半ばを過ぎた肥満体の中年男で、いつも油で汚れた薄汚い作業服を着ている。毛穴から噴き出る汗は粘度が高く、目鼻立ちの大きい暑苦しい顔はいつもヌルヌルに滑っている。恵理子は有田の醜い顔が生理的に受け付けられず、仕事中に話しかけられるだけで鳥肌が立った。
「青木さんにちょっと相談があるんや」
社長のいつにない神妙な顔つきを見て、恵理子は身構えた。後ろめたさがあるだけに有田に深刻な顔をされると、胸の動悸が速くなってしまうのだ。
「・・・何やの、相談って・・・」
恵理子は動揺と唇の震えを懸命に抑えて言った。
「うん、実はな・・・」

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有田はもったいぶった様子で向かいのソファーに腰を下ろすと、分厚い唇をニヤリと歪めた。
「青木さんが穿いてるその臭そうな黒パンストを舐めさせて欲しいんや」
有田の口から吐き出された信じられない言葉に恵理子はカッと目を見開き、次の瞬間にはヌルヌルと滑った顔に助平ったらしい笑みを浮かべている社長に罵声を浴びせた。
「はぁ!?あんた、頭おかしいんと違うか!?」
だがその十五分後、恵理子は黒のパンストに包まれた爪先を、自ら社長の鼻先に突き出していた。

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[ 2011/06/18 17:10 ] 妄想小説 | TB(0) | CM(0)

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